バーチャルとリアル

物事を判断する人間の頭には、理論と皮膚感覚があります。
理論はバーチャル、皮膚感覚はリアルと言い換えても構いません。
我々は、この理論(バーチャル)と皮膚感覚(リアル)の双方を持合わせ、ビジネスの判断や推進を進めていくことを強みとしております。

では、ここで、理論(バーチャル)と皮膚感覚(リアル)に付いて、ご説明します。

【理論(バーチャル)】
文字通り、仮想のもの、想像上のこと、理論上の考えなどのこと、人間が頭脳で作り上げたものです。
最も一般的な「バーチャル」が、IT(情報技術)やFT(金融技術)ですね。
いずれもが、頭のいい人々が生み出したもので、その理論や技術は一般人では理解するのが困難であったりします。
でも、理論的には優れているので、一般人はそのまま鵜呑みにしてしまう傾向もあります。
例えば、金融関連がそうですね。
多数の金融商品が出回っていますが、この中身は一般人や一般企業のどれだけの人が理解していることでしょうか?
理解していないにもかかわらず、投資をしたり仕組みを使ったりして、金融商品を提供している人に対価を払っています。
バブル時に流行って大損をこいた特金・ファントラや、元本割れが問題となっているMMFなんかが代表例。
あるいは、一般企業向けだと、飛ばしとか証券化、ファンドなんかも当てはまるでしょう。

金融商品を作り出したり金融工学に長けている人は、このように一般人・企業相手に、理論上では優れているものを、売りつけて儲けているのですが、では、彼らの生み出した理論は、本当に間違い無いのでしょうか?

ここで一例を挙げます。
魚河岸では、寿司屋や魚屋の仕入れ担当が、新鮮で美味しそうな魚を仕入れています。
彼らがどの魚を仕入れるかは、過去の経験から蓄積された直感に大きく依存しています。
もしここに、マグロの刺身を食べたことの無い、理論家(バーチャリスト)が、マグロに関しての優れた理論をベースに「あのマグロは新鮮で安いから買おう」と判断したとします。
結果はどうなるでしょうか?
後述する「リアル」を知らない彼は、その理論が現実と如何にかけ離れていたかを後日知ることとなるでしょう。
同じような例では、「虫歯になったことの無い歯医者」なんかもあります。
虫歯になった事が無いので、患者がどのように痛いのか、どうやれば痛みは少なくなるのか、理論上でしか知りません。
そんな医者が「大丈夫、痛くないから」と、治療をしています。
マグロのバーチャリストも、歯の理論家も、でもそのお客さんとなる魚屋や患者を、優れた頭脳で口説き、複雑怪奇な理論で丸め込んでしまうのです。

【皮膚感覚(リアル)
文字通り、現実のもの、手にとってわかるもの、感覚がつかめるものです。
上述したバーチャル以外の全てのものといっても過言はありません。
不動産も鉛筆も野菜も全てリアルな「商品」です。
物の売買も輸送もお金の出し入れも全てリアルな「商売」です。
多分、多くのビジネスマン・ウーマン、一般庶民は、このリアルで仕事をしており、リアルで生活をしているはず。
リアルには、理論よりも現実、計算よりも皮膚感覚、教科書よりも直感で物を判断し、事業を組み立て、買い物をし、生活をするという特徴があります。
これは逆に言えば、エイヤの世界、「何となくいいからやろう」という判断背景で物事が決まっていく、やや危険な状態でもあります。
例えば、バブル時に走った不動産投資がそうですね。何の理論的背景も無く「不動産は上がるものだ」と金をつぎ込みました。ITバブルだって同じです。
そんなリアル人は、理論や技術に疎いため、上述した理論化(バーチャリスト)である頭脳集団に上手く利用されてしまうことも事実です。

【何が必要か】
というわけで、バーチャルな人にはリアルな皮膚感覚が欠けています。リアルな人にはバーチャルな理論が欠けています。
今後、ビジネスをしていく上でも、生活をしていく場でも、このバーチャルとリアルの双方を持つことが要求されることでしょう。
現実に、この双方が融合・合体している例がどんどん出てきております。
例えば不動産の証券化。ここ数年、新聞紙上を賑わしている、バーチャルとリアルの融合です。
つまり、証券化という最先端の金融技術と、不動産というドロドロの業界がくっついたのですね。
ITのクリック&モルタルもそうです。クリック(ネット上でのやり取りのこと)が、モルタル(実際の店舗や倉庫でのやり取り)と結合して、理想的なITビジネスが続々生まれています。

以上より、もし貴方が金融機関に勤めているアナリストであったり、IT産業に従事しているシステムインテグレーターであるならば、その専門性を深めるよりも、リアルな現実な商品・商売の知識や皮膚感覚を高めることに努めましょう。

もし貴方が商社に勤める営業マンであったり、小売に従事している経営者であるならば、その業界の知識を深めるよりも、バーチャルな金融理論や経営理論、ITの概略の知識を蓄積するように努めましょう。

理論先行型は、いつしか頭でっかちとなって淘汰されるのが生物の定め。
理論不足型は、その理論先行型の理論家に食い物にされるのが弱肉強食の掟。

 



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