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「資産の掘り起こしと事業の定義」  2002年9月2日  vol.36

■消費者金融、関西の乱

関西有数の鉄道会社、阪急電鉄が消費者金融事業に本格参入した。
鉄道会社と消費者金融、意外な取り合わせのようにも思えるが、儲かりまくっている武富士やプロミスという消費者金融業界に、1つの大きな波乱を起こすことだろうと、筆者は判断した。
そして、その際のキーワードが、「持てる資産の掘り起こし」、と事業の定義だ。

■阪急電鉄

阪急電鉄は、梅田を中心に、一日の乗降客数180万人を有する関西最大手の電鉄会社の一社。
その阪急が、駅構内で消費者金融の店舗を展開していくとのこと。

阪急は、脱鉄道を進めるために、駅構内にコンビニや書店、高級スーパーなどを続々導入している。
今回の構内消費者金融店舗もその一環。
そして、脱鉄道の起爆剤となるのが、上述した180万人の乗降客数と、ICカードである。

■持てる資産の有効活用

多くの企業が、不況と消費低迷に苦しんでいる中、他業種に進出したり、M&Aで規模拡大を進めたりしている。
その際、「何でこんな事業に進出するの?」と疑問を持たざるを得ない展開を図っている企業をたくさん見かける。
それはなぜか?
「自社で持っている資産」の有効活用、言い換えれば「強み」を活かす展開をしていないからだ。

では、今回取り上げている阪急の新規事業はどうだろうか?
阪急は、持てる資産を、「180万人の乗降客数」と、「ICカード」であると判断し、それを活かす事業を進めている。

■事業の定義

同じく、多くの企業が既存の事業からの脱皮に苦労している。
そして、結果的には、脱皮しきれずに、従来路線を進むだけで終わっている企業をたくさん見かける。
それはなぜか?
「自社が展開する事業」の定義付けを、間違えているからだ。

では、阪急はどうだろうか?
「駅という立地に行き来する消費者を多面的に満足させる事業」を、自社の事業の定義としている。

■従来の鉄道会社

もう少し分り易く説明してみよう。
従来の鉄道会社は、その持てる資産をこう考えていた。
まずは有形資産として、言わずもがな、電車と線路が持てる資産であり、そこから生まれる電車賃を収入源にしている。
次に、路線近くに展開する土地不動産が資産であり、それを開発し分譲したりすることを収入源としている。
いずれもが、「見える資産」。

事業の定義はどうだろうか?
「電車を走らせる事業」、「鉄道を展開して人を運ぶことが事業」としていた。

■阪急が考えた資産と事業定義

ところが、阪急は、持てる資産をこう考えた。
「一日180万人もの人が電車を乗り降りする。こんなに人が集まるということ、それ自体が多くの価値ある資産」であると。
また、「必ず乗客は、切符や定期などのカード類を利用、保有」するということも、価値ある資産と考えた。
そこで、「では、単に切符や定期を持ってもらうのではなく、ICカードに切り替えてもらおう」と試みている。
ICカードであれば、顧客の情報を記録できるので、顧客データーベースを構築することにより、多数の消費者相手事業が展開出来る。

そして、事業の定義を「人を運ぶ」事業ではなく、「駅構内でのお客さんの消費満足度を高める事業」とした。
結果、180万人という「待っていなくても来るお客さん」に対し、「ICカードを持ってもらい」、それをベースに、「駅構内でのお客さんの消費満足度を高める事業」を展開していくのである。

資産が、「待っていても来る多数のお客さんと、そのお客さんが何らかのカード類を必ず利用する」こと。
事業定義が、「駅構内での消費満足度を高める」こと。
その一環で誕生したのが、構内の消費者金融事業だ。
ちなみに、業界最大手の武富士は、その口座数が280万口座。
阪急の一日の乗降客数の約1.5倍でしかない。

■他社との違い

同じような形態に、JRの「スイカ」がある。
でも、これは料金前払いであることを含め、単なる「切符や定期」の代替でしかない。

駅構内の金融で言うと、丸井のキャッシングがあったり、最近では銀行が無人店舗を出している。
でも、これは単に、場所を金融会社に貸しているに過ぎない。

あくまで、切符や定期の代替ではなく、新たな消費活動を生み出し、それを自社でやっていくことに、今回の阪急の意義がある。

■最後に

何をやるにしても、自社が、あるいは貴方が持っている資産、強みを活かせる分野をやるべきです。
何かやる場合に、事業やビジネスの定義を固定概念にとらわれないことが重要です。

そして、従来、資産や強みとは思っていなかったことが、冷静に考えると莫大な価値あるものに生まれ変わることを忘れないで下さい。

では、また次回




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「他力本願になるな!」  2002年8月20日  vol.35

■エア・ドゥと、スカイマークエア

北海道を主体に航空業界に新規参入したエア・ドゥ(北海道国際航空)が6月に破綻したことは記憶に新しい。
同じく、新規参入したスカイマークエアは、苦労しながらも何とか黒字化に向かい、国際線を運航するまでになった。
ちなみに、取引先等への移動に、エア・ドゥの幹部は黒塗りハイヤー、スカイマークエアの幹部は徒歩が中心だったとか。

■両社の差

では、同じ頃に新規参入した両社が、ここまで明暗を分けたのは何が原因だったのだろうか?
いろいろあるのだろうが、他力本願のエア・ドゥと、自力でがんばっているスイエア、これが明暗を分けた最大の原因だとも言われている。
そう、赤字になれば北海道を始め役人に頼りまくった、官への依頼心が強かったのがエア・ドゥ。
そう、官に頼るどころか、場合によっては官に対し徹底的に交戦して行政自体を変えてしまったスカイエア。

■エア・ドゥの破綻

前述の通り、エア・ドゥは、何かあると人のせいにし、官に頼っていた傾向があった。
赤字の要因は、規制緩和が足りないからだと嘆き、「だから北海道さん、もっとお金を補填して」と頼んできた。
でも、規制緩和が足りないと嘆いているだけじゃダメだよね。
変えられないからって、他に頼っているようでは、経営者なんていらないよね。

足りないなら、足りるように努力するのが、民間企業でしょ。
変えられないなら、変えてみせるという信念を持つのが、経営者でしょ。
現に、スカイエアはそうやってきたのだし。

もう1つ、「うちは地域のための航空会社であり、地域に役に立つことが何よりも大切だ」といつも言っていた。
それ自体はOKの話だが、赤字が出ても「地域のためだから」という言い訳をしていたのも事実。
そう、何が起こっても「地域のため」という逃げ口上を用意していたのだ。

つまり、官に頼ったこと、逃げ口上を常に用意していたこと、いずれもが「他への責任転嫁」、「他力本願」というのに繋がっていく。

■スカイマークエア

一方のスカイマークエア。
まだまだ財務体質は悪く、熾烈な競争は当面続くことだけは間違い無い。
でも、黒字化が見えてきたことと、国際線への参入は、何はともあれ「がんばっているね、すごいね」と言いたくなるのも事実。

そこには、「やってみせるぞ」というベンチャー体質が、社内に行き渡っていたようだ。
(親会社は、ベンチャーとして大成功したH・I・S)
参入当初、当然のごとく行政やJAL/ANAあたりに邪魔をされてきた。
それを、破綻エアのように言い訳にしたりはせず、「何としてもやってせる。」と努力を重ねてきたのである。
結果、漸くではあるが羽田の発着枠の配分を受け、自社専用カウンターを空港内に設置することが出来たのである。
言い訳を言っていたら、両方ともダメだったであろう。

コスト削減も並大抵のものではなかったと聞いている。
前述した、幹部と言えども、ハイヤーはもちろん、電車もなるべく使わず徒歩中心ってのも、その一例だ。
いわく「どうせ社内会議をやるなら、歩きながらやろう。時間とコストのセーブになる」だって。すごい。

■USJでは

話が変わって、最近の新聞紙上をにぎわしてくれているUSJ(ユニバーサルスタジオ)。
これも、エア・ドゥ同様、他人に頼ってきたこと=自己責任の欠如が、問題発生の根幹だと言える。
同社は、大阪市が25%出資する三セク。
この寄り合い所帯が、「誰かがやってくれるだろう」、「俺の仕事ではない」的な、他力本願主義に走らせた。
そう、役所や出資企業からの転籍、出向者が多く、無責任体制となったのだろう。

■ほかには

このような、無責任体制から破綻した(主に三セク)の例は、最近枚挙に暇ない。
長崎オランダ村、宮崎シーガイア、小田原地下街、川崎市場信用ーーーー。
で、そのほとんどが、破綻しても、実質的には「誰も責任を取っていない」のが現状ではないだろうか?
責任を取っていないのは、常に誰かに頼っていたから、頼る場所があったからだ。

■最後に

やっぱ人間、頼るところがあるとダメですよね。
どうしても弱いものなので、そこに逃げ込んじゃいます。
エア・ドゥだって、別に経営者の質が悪いわけではないだろうし、ましてや従業員は一生懸命だったと思います。
ただ、「いつでも頼みに行けるところがある」、「何が起こっても言い逃れが用意されている」では、どうしても弱い方向に行っちゃいますよね。

これは、経営者だけではなく、我々一般ビジネスピープルにも当てはまることです。
何かあったら直ぐに頼んでしまう相手や上司はいませんか?
自分が逃げ込める場所が用意されていますか?
もし、そうだとしたら、貴方のビジネスや貴方自身の職務は、少なくとも大成功はしないでしょう。

頼ったり逃げ込んだりするのは、家族や友人、趣味くらいにしておきましょうね。

では、また次回。



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「夏休みSpecial ; 夏休みの過ごし方」  2002年8月13日  vol.34

「C.S.O.Enterprise」 夏休みスペシャル

皆さん、どんな夏休みをお過ごし(予定)ですか?
C.S.O.ピープルであれば、是非「悔いの無い夏休み」をお過ごしください。

そこで、夏休みスペシャルと題して、「こんな夏休みの過ごし方」をご推薦します。
今年のキーワードは、「徹底的に」。


■徹底的に乱読(雑誌を買いまくる)

手当たり次第に読書をするってのはいかが?
でも、買ったはいいものの、時間が無くて書棚に山積された本を読むんじゃ、面白みがない。
そこでこの夏は、「自分の視野を広げる」ことを目的とした乱読はどうだろうか?

その為には、例えば書店に陳列されている売れてるベスト10をすべて買っちゃうとか。
いや、それは時間が無くて出来ないかな。
ならば、手当たり次第、雑誌を買うってのはどう?
いっそのこと、ビジネス誌だけは除いてね。
男性なら、FRAUや日経Womanなどの女性誌を、女性ならMen's EXや日経OFFを。
また、鉄道ファン、歴史読本、ゴルフダイジェストなどの趣味誌から、地域誌や料理誌だっていいじゃん。
特にテーマを決めずに、目に入ったものを買いまくるのだ。

そして、全て斜め読み、飛ばし読みでもいい。雰囲気だけを掴むだけでも十分だろう。
斜め読みなら、30分もあれば一誌読めるので、3日もあれば店頭に並んでいる大半のものが可能だろう。
きっと、思いもしなかった発想とか、新たな発見があり、休暇後の貴方(貴女)にはどこかで効果が出てくることだろう。


■徹底的に自分の棚卸し

自分という「資産」の棚卸しをしてみてはどうだろうか?
自分を1つの資産として捉えてみる。
そこには、貯金や不動産などの「見える資産」もあるが、ここでは「見えない自分の資産」を棚卸するのだ。

友人や家族、知識や知性、信念や夢、いろーんな見えない資産がC.S.O.ピープル達にも必ずあるはずだ。
それを、1つ1つ頭の棚から降ろし、整理してみると、何が無駄で何が使いこなしていないのかがわかるだろう。
また、残り数ヶ月の今年、次の異動までの1,2年、キャリアアップまでの数年、大きな岐路までの10年など、次の区切りまでに、どの資産を有効に使うべきか、どの資産を捨てるべきかが、より明確になっていくことだろう。


■徹底的に地域参加

夏は、地域に溶け込みやすい時期である。
そう、地域の夏祭りが盛んだからだ。
そこで、今年の休暇は、普段溶け込めていない、参加していない地域生活に、どっぶり漬かってみるのはどうだろうか?
小さい頃は、嫌がおうにも地域に密着されてたよね。
それが、気が付いた時には、地理的に離れている人々とはネットで近づいたものの、地理的に一番近い地域コミュニティとは遠ざかってしまった。

しかし、間違い無く21世紀は、地域コミュニティが復活することだろう。
なぜなら、会社依存型が崩れ、ドライな人間関係が蔓延している中、人間誰もがココロの通い合いを求めているからだ。

筆者も、20年ぶりに地域の盆踊りに参加してみた。
なんとも言えない「ホッ」としたいい気分。


■徹底的に1人の時間

1人の時間を作ってみるのはどうだろうか?
それも、TV雑誌等の情報源から隔離して。
(上述した乱読とは逆の話だが)

普段、情報洪水の中、人との接触が多い中、1人で誰にも何にも邪魔されずに時間を過ごすことが、あんまし無いことだろう。
で、あえてTV雑誌を捨て、誰にも会わず、黙々と1人で過ごす時間が、今の世の中、最も贅沢な過ごし方だし、最も難しい過ごし方でもある。
だからこそ、今年の休暇は、徹底して1人で過ごす。なんとも贅沢なことだろう。


■徹底的に遊ぶ

遊んで遊んで遊びまくる。
いいんじゃない、そんな休暇があっても。

ところで、ここで言う遊びって何?
それは、自分が好きなこと、その程度でいいだろう、定義は。
で、徹底的に遊ぶとは、徹底的に好きなことをやるってこと。

旅行、音楽、映画、ゴルフ、グルメ、なーんでもいい。
「自分はこれが一番好き」ってことを、徹底的にやるのである。
そう、「もう腹いっぱい」ってくらいに。
C.S.O.ピープルは、遊びも達人じゃないとね。


■徹底的にサボる

遊びも疲れるものだ。
そこで、徹底的に「何もやらない」、「サボりまくる」ってのはイケてる休暇ではないだろうか?
そう、なーんにもやらない、ジャマイカンになっちゃうのだ。

朝何時に起きてもいい。
食べたい時に食べ、酒を飲みたきゃ朝からOK。
夜中までTV生活もいいし、昼寝を3回したって文句無し。

徹底的に、怠惰な生活をとり、「もうこれ以上サボりたくない」状態までさせちゃうのだ。
すると、仕事が恋しくて恋しくて仕方なくなるだろう。
すると、お勉強がしたくてしたくてどうしようもなくなるだろう。


■徹底的にヒマになる

上述を更に進めて、徹底的にヒマ(暇)を作っちゃうってのもいいね。

サボるって言っても、TV見たりお出かけしたりすることが含まれちゃう。
で、それすらしない。
なーんにもしないのだ。
ただ、ボーと、そう時が経つことだけを目的としているような一日を過ごす。
「暇で暇でしょうがない」状態って、非常に貴重な体験だと思うよ。


■徹底的に鍛える

今度は、上記と逆のことだが、徹底的に自分を鍛える期間にしてみてはどうだろうか?
鍛えるとは、体もココロも頭もだ。

普段、酒と美飯で贅沢三昧の貴方。
普段、楽しくおかしく過ごしている貴女。
でも、それが続いているので、何となく飽食化してきたのではないだろうか?

そこで、この期間、肉体的にも精神的にも、徹底的に自分を鍛えてみることをお薦めする。
朝から晩までジムやプール。
朝から晩まで難しい哲学書を読む。
朝から晩まで禅寺にこもる。
出羽三山での荒行だっていいじゃん。

そしたら、普段の贅沢が何倍にも価値が高まるし、第一、鍛えたことによって得ることは多大である。


■徹底的に極める

何かを、集中的に極める、マスターするってのも、休暇ならではだね。

極める対象は、趣味でも、仕事関係でも何でもいい。
3日間で、パソコン関連を徹底的にマスターしちゃう。
3日間で血豆が出来るまでゴルフを練習する。
3日間で、MBAの本を読破する。
3日間、蕎麦作るのみをやる。
3日間、縄文時代から現代までの日本史を極めちゃう。

C.S.O.ピープルなら、3日もあればたいていのことはマスターする、極めちゃうものだ。


■徹底的に家族

家族のいる方は、徹底的に家族と時を過ごしてみたらどうだろうか?

普段、深夜残業(飲み会?)と週末ゴルフで忙しいお父さん。
普段、仕事にグルメにショッピングにと家に居ないキャリアさん。
家族って、近くにいるようで遠い存在になってないだろうか。

子供がいるなら、絵日記の材料を毎日作ってあげること。
お母さんと一緒に住んでいるなら、毎日夕食を作ってあげること。
奥さんや旦那さんと、会話が無くなるまで会話をすること。
なーんでもいい。
ともかく、家族とだけ過ごすのだ。


■徹底的に恩返し

この夏、徹底的に恩返ししてみない?

誰もが1人で生きているわけではない。
親兄弟、妻夫、子供や親戚。
近所、友人、仕事関係。

そんな彼ら彼女らに、何でもいいから「日ごろの感謝」を示すのだ。
もちろん、お中元なんていう形式ばったものじゃなくて。

そうだ、直筆のお手紙がいいかもね。
一言、感謝の気持ちが表れる文章に、休暇中の旅先で見つけたシオリでも同封して。
それが、貴方(貴女)をサポートしている人々への、効果的な恩返しとなることだろう。


■徹底的に少年少女に

この夏、徹底的に少年少女に戻る。なんともすばらしい夏休みじゃないか。

セミ取りを何年やっていない?
線香花火のキレイさを覚えている?
小川で小石の何段飛びって楽しいよね。

プラモデルを作ったって、りかちゃん人形をタンスの奥から出したっていいじゃん。
市民プールで泳いだ後に、自転車おじさんからカキ氷を食べると美味しいよ。
童話を読んだり童謡を聴きまくったりするのもいいかもね。

そう、倉庫にすっかり置き忘れてしまった「少年少女」を、この夏は取り出してみない?


■徹底して田舎人になる

田舎っていいよね。

着信音の代わりにセミの声。
パソコンのキーボードを打つんじゃなくて、まき割りをする。
ラグジュリーなバーではなく、満天星の下での焼酎。

目覚し時計なんていらないよ、文字通りニワトリが起こしてくれるから。
テレビ? そんなもん映らないけど、外を眺めているだけで十分。
いいね、田舎人の生活って。


■徹底的に電車に乗る

電車に乗るのは、平日の通勤時と出張時ばっか。
週末は車での移動。

そんなC.S.O.ピープルは、この休暇に、目的地が無い電車の旅に出てみてはいかが?
最寄の駅から、普段とは逆の方向の電車にまずは乗る。
テキトーに降りたいときに降り、乗り換えたいときに乗り換える。
出来れば鈍行がいい。

すると、車窓からの景色が普段とは全く異なったものになるだろう。
そして、夕暮れを迎えた駅を終着駅とし、そこで降りちゃう。
そこには、金では買えない贅沢な「目的地」が待っていると思うよ。


■徹底的にリゾート

どうせ休みなら、徹底的にラグジュリーなリゾートを味わうのもいいね。
そして、どうせ味わうなら金には糸目をつけずに。

その場合のキーとなるのが、人が少ない場所で、王様女王様気分になれるリゾート地に行くってこと。
間違っても、チェックイン客でごった返しのホテルとか、列を成しているレストランなんかではダメ。

「そんな場所、日本にあるの?」
探せばあるよ。


■徹底的に仕事

この時期、電車も街も空いている。
オフィスに居ても、電話もEmailも少ない。
だからこそ、徹底的に仕事に埋没できるのがいいね。

で、この時期、徹底的に仕事をするってのはどう?
そのために、まずはオフィス空間を整えよう。
まずは、デスクと書類とEmailや電子ファイルの整理。
そして、いざ仕事へ。

こんなに仕事に集中できる時期は無いよ。
そして、盆が終わってから、ゆっくり休暇をとろうね。


■最後に

「そんなこと、時間が無くて出来ないよ」
うーん、C.S.O.ピープル達からのそんな反論が聞こえてきます。

そうなんです。
言っている私自身も、出来ないと思っていることばっかり。
まあ、理想かもしれないね、ここで挙げたことは。

ならば、出来るように、皆も私も、更に鋭意努力していきましょうね。
そしたら、いつか、こんな夏休みが過ごせるようになりますよ、きっと。

では、Have a nice holiday!



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「環境にやさしい経営」  2002年8月8日  vol.33

■猛暑、暑いねー

大都市は、ヒートアイランド現象で連日の猛暑。
地方も、温暖化の影響で暑いのなんのって、ありゃしない。
で、皆さん、この猛暑、誰に文句を言いたい?

■全ては企業の責任

猛暑の原因、その大きな部分は企業の責任と言っても過言ではないだろう。
工場からの排煙、オフィスビルからの熱風、過剰な輸送、無駄な冷暖房、どれもこれも、猛暑の遠因になっている。
そしてそれらは、環境に配慮しない経営をしている企業に限って、猛暑の犯人として今後は罰せられることだろう、我々市民から。

■環境ブランドイメージ

少し前のことだが、日経BP社から「環境に対する企業のブランド・ランキング」が発表された。
これは、消費者を対象に環境に関する企業のブランドイメージを調査し、ランキングを纏めたもの、要は消費者から見て「環境に配慮した経営をしているか」という評価ランキングである。
結果は次の通り;
1位/トヨタ、2位/キリンビール、3位/ホンダ、4位/アサヒビール、5位/ジャスコ、6位/旭化成、7位/ソニー、8位/キャノン、9位/日産他
どうだろう、この結果を見て。
この不況下においても、業績が好調な企業ばっかりではないか。

ちなみにランキングが低い、あるいはマイナス評価の企業の例は次の通り;
「資源やエネルギーの無駄遣いをしている」として、JR東海やJAL。
「廃棄物の処理に問題がある」として、清水建設や熊谷組。
JRもJALもゼネコンも、決して業績がいいとは言えないだろう。これは偶然ではない。

■環境に配慮=業績好調な優良企業

上記の結果のみを見ると、環境に配慮している企業=業績好調な優良企業となる。
この図式、間違ってはいないが、図式の途中を見逃すと大きな誤りを犯す危険性がある。
なぜなら、業績を上げることだけが目的で環境に配慮している「フリ」をする企業が続出するからだ。
いや、現に続出している。
それは、あたかも「地域に貢献する企業=優良企業」として、地方のテーマパークや町おこしにこぞって参入したバブル期のように。

では、環境配慮=優良企業の図式を分解してみよう。
すると、以下のことが浮かび上がってきた。

■基準作りが上手い

まず1つ目は、環境に配慮している企業は、何が良いかという基準作りが上手である。あるいは世論のコンセンサスを作り出すのに努力している。
市民は、環境に優しい方がいいに決まっている。だって猛暑はイヤだもん。
これを、単に「イヤだもん」だけでは済ませないで、「こんな企業は環境に優しいんだー」と思わせ、そう思わせるための基準を作るのである。
例えば、流行っている「環境会計」である。
環境会計とは、これだけ環境に貢献したよ、というのを財務諸表みたいにして数値化するもの。
あるいは、CO2排出権やゼロエミッション(ゴミの量をゼロにすること)のように、どれだけ環境に悪影響を与えたかを数値化する。
このように数値化することにより、「猛暑やイヤだもん」と言っている市民に対し、数字でそれへの貢献度を示せるようにしているのだ。

三菱樹脂は、国内5工場のゴミをゼロにすることを宣言した。
これだけで、相当なる良いインパクトがあるだろう。

■潮流を掴む

世の中の潮流を掴むのが上手いことも、これら企業の特長である。
最近、社会的責任投資(SRI)という言葉をよく聞く。
これは、「環境に優しかったり、ボランティアなど社会に貢献している企業へ投資をする」というもの。
一般的な株式投資は、単にその会社の利益や成長性を見て、株価が上がると思えば投資をしている。
つまり、株主に対して利益を還元できるかどうかで、企業の良し悪しを判断しているのだ。

これに対しSRIは、株主への利益の還元ではなく、社会や環境への還元というのに注目をし、それが達成できている企業はGoodということで、投資をしていくのだ。
欧米では、非常にポピュラーな投資であり、その潮流が昨年あたりから日本にも現れてきた。
エコ・ファンドなんて流行ったのも、その一種。

■経営に余裕がある

やっぱ経営に余裕がある企業ほど、環境に貢献しているとも言える。
だから、環境に優しい=優良企業という図式は、優良=余裕がある=環境に配慮できる、という逆も真になるのだ。
環境に優しい資材を買ったり、環境に配慮して工場を運営すると、なんだかんだと言っても、環境に配慮した経営にはコストが余分にかかる。
また、環境会計導入にしたってそこにはコストが発生する。
優良企業で余裕がある経営だと、税金で無駄にお金を吸い上げられるよりも、自社の判断でそのお金を環境に配分しているのである。

電力会社の多くは、グリーン購入という制度を設けた。これは事務用品から発電設備に至るまで、環境配慮型の製品を積極的に購入していこうというもの。

■消費者は値段だけではない(消費者ニーズ)

消費者は、安けりゃ買うってものでもない。
マックが59円ハンバーガーをスタートさせたが、あんまし順調ではないらしい。
それよりも、環境に気を使った食べ物、飲み物、消費財の方が、少しくらい高くてもいいや、ってことで消費者が動くケースが、最近増えている。

■大局を見ることができる

そして最後に、何と言っても、優良企業の経営者は、物事を長い目で見る能力を有している。
あるいは、何が今一番大切かを知っている。

これだけ環境が悪化すると、誰もがなんとなく不安になっている。
で、人間はバカじゃないから、その不安を取り除こうと、誰もが行動する。
当然、そこにはビジネスチャンスがある。
しかし、これは今すぐにお金がチャリンと落ちるわけでもない。
今、環境に配慮したって、企業には殆どお金は落ちないだろう。いや支出ばかりが増える一方だ。
でも、人間のこの行動の方向は絶対に変わらない。
だから、長い目で大局的に見て、支出ばかりだが環境に配慮して、何年後かのお金を受取れる準備をしているのが、優良企業である。

■で、一般企業は

以上より、環境に優しくすると優良企業になれるのではなく、優良になるためにやってきたことの1つが環境に配慮するってことだ。
今回言いたいのは、このことだけ。
女性に優しくするとモテるのではなく、いい男になるためにやってきたことの1つが女性に配慮するってことと同じだね。
従業員に優しくする企業は優良なのではなく、優良になるためには一番大切な資産の1つである従業員に最大の配慮をするってのとも同じ。

その図式を勘違いすると、わけもわからず環境に配慮している「フリ」か、あるいはなんでもいいので環境と名がついたことへ投資をしてしまう、短絡型の経営に陥ってしまうだろう。

■最後に

世の中、How-Toものが氾濫しています。
どうすればこうなれるのか、どうやればうまくできるのかっていう内容のものばっかり。
でも、その本質を掴んでいないと、環境に優しくすると優良企業になれる、と本気で考えているバカ経営者と同じ結果になりますよね。
かならず図式の裏には、そうなった意味や背景があるので、そこを見逃さないようにして下さい。

ではまた次回



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「逃げるリーダー」  2002年7月29日  vol.32

■ 誰の下で働く?

経営トップや上司には、責任を回避する逃げるリーダーと、真っ向から責任を受け止めるリーダーの2種類がいる。
で、貴方は、どちらのリーダーの下で働きたい?

「二期連続赤字となれば自ら身を引く」と公言している、松井証券の松井社長。
一方では、巨額損失を出したにもかかわらずトップが替わらなかった某大手証券会社がある。

「実績を出せなかったら私が全責任を負う」と明言した、日産のゴーン社長。
一方では、リコール問題多発と大幅赤字にもかかわらず、外圧がかかるまで社長交代しなかった某自動車メーカーがある。

C.S.O.Enterprise読者の多くは、松井社長やゴーン社長というリーダーの下で働くことを選択するだろう。


■リーダーシップとマネジメント

今回は、リーダーシップに付いて解説するが、その前に誤解されやすい「リーダーシップ」と「マネジメント」の違いに付いて述べる。

リーダーに求められる能力とは、”企業内に変革を推し進め、企業を前へ前へ進めさせる”機能を持ち合わせていること。
マネジメントに求められる能力とは、”効率的に組織を運営してく”機能を持ち合わせていることを言う。

リーダーの行動とは、チーム員へビジョンを提示し、チーム員を統合させた上で動機付けを行っていく。
マネジメントの行動とは、計画・予算を立案し、組織構造を設計し、予算実績を管理し、問題解決を行っていく。
そして、自らの行動と役割に責任を持つことが、真のリーダーであり、マネジメントはそれを補完する役割に過ぎない。


■マネジメント過剰と、リーダーシップ不足

上述したリーダーシップとマネジメントの定義を読むと、どちらが日本に欠如しているかお分かりだろう。
そう、多くの日本企業で、マネジメントが過剰となり、リーダーシップが不足しているのが現状だ。

マネジメントの役割が、複雑な環境に上手に対処し、組織に秩序と一貫性をもたらすものである限り、それはややもすると官僚的となることにも繋がる。また年功序列の日本では多くの者がそのポジションにいる。

一方、「混沌の中から自ら成すべきことを見つけ、変革を成し遂げる力量」を持ち合わせていることが、本当の意味でのリーダーであり、それを兼ね備えているトップや上司は非常に少ない。
だからこそ冒頭に述べた「責任回避と逃げまくる」トップが多発していると言えるのだ。

そこで、リーダーとして恥ずかしい行動である「逃げる」に付いて、そのパターンを以下に列挙してみる。


■逃げるリーダー/言い訳

逃げるリーダーの行動で一番多いのが、経営責任を取らないことだ。
そして、経営のプロではなく、弁明のプロとして生きている。

「経営環境が悪いから業績が悪化した」なんて言い訳を吐くトップは、「環境という外部に責任を転嫁」している証であり、自らの責任から逃げている。
誰も、無理矢理トップになってくれなんて頼んだ覚えもないのに。

「世界的不況だから」、「業界他社も苦戦している」、「デフレが蔓延している」なんていう業績不振の言い訳なんて、いくらでも探せば見つけられる。
それこそ、「ピッチャーの球が速すぎたので三振した」ことを理由に、自らの低打率を言い逃れするヘボ選手と同じだ。


■逃げるリーダー/形だけ

形だけ責任を取るが、実際には責任から逃げているリーダーもいる。
みずほ銀行のトラブルなんかは、その典型例だろう。

トラブル発生した時、頭取などの記者会見での言い訳は、漫才ではないかと疑ったくらいだ。
当日は、トイレに逃げ込むシステム幹部もいたそうだ。
そんな中、システム導入を決めた3人のトップが、責任を取るために、特別顧問を辞任したとの発表があった。
まあ、そんなの当たり前ではと思いきや、なんと3人で総額20億円の退職金を受取るとの報道が流れた。
20億円を貰って辞任なんて、そりゃ責任取ったとは言わないよね。
つまり、形だけ責任を取っているが、実際には逃げているのだ。逃げないで責任を本当に取るのなら、20億円退職金なんて申し訳なくて受取れないだろう。


■逃げるリーダー/知らなかった

問題が発生した時に、よくこんなことを耳にする。
「その件は担当部長に任せていたので。」
「私はその件について関知する立場になかった。」

こんな弁明って、醜いだけで何ら説明になってないよね。
雪印の不正牛肉の際も、「それは工場長に任せていたので」だって。
で、あまりにも世論が許してくれないので、自主的ではなく、他力的に責任を取った。

これは、経営トップだけではなく、課長・係長クラスでもよくある話。
納入が遅れた際に販売先からクレームを受けた課長が、「部下によく申し付けておく」と部下のせいにすることあるよね。
発注ミスがあった際に、「お前の責任で全部売って来い」っていう係長、顔も見たくないね。
部下がアレンジした「部長歓迎パーティー」で、その場所を部長が気に入らなかった際には、「なんでこんな店を予約するんだ、気が利かないな」とコウモリをやる主任、ふざけるなだよね。


■逃げるリーダー/仕方が無い

よく「仕方が無い」って言葉が、経営トップやマネジメントから発せられる。
確かに、仕方が無いこともあるだろうが、その多くは万全を尽くしていない、全力を投入していない。

ちなみに、仕方が無いという概念は、欧米人には理解しがたいようで、英語ではなかなか適した単語が無い。
せいぜい、I have no choice(他に選択が無い)、It is unavoidable(避けられない)くらいだ。
つまり、いろいろ試した結果、他に選択が無かったり、突発的で避けられない場合に限り、「仕方が無い」という発言をしてもいいのが、リーダーである。


■逃げるリーダー/トップの交代

トップの交代でよくあるのが、経営不振などで社長が交代し、副社長がその後の社長職に付くというケース。
経営不振の責任って、同じく経営にあたっていた副社長にもあるんじゃない?
なのに自らは責任をとらず社長職に就き、社員の首切りを進めちゃうなんて、最悪だよね。


■逃げるリーダー/総合無責任状態

逃げるトップには、また別の特徴がある。
それは「総合無責任状態」という奴。
これは、それぞれのトップが責任を取っているようで、常に誰も取っていない状態のこと。

例えば、1つのプロジェクトに、社長以下が稟議でハンコを押したとする。
そのプロジェクトが失敗した時には、「自分以外の人も賛同したので」という言い訳が出来る仕組みだ。
そう、責任を取っているようで取っていないのが、皆で考え許可したのですよ、という総合無責任化だ。


■逃げるリーダー/トップ乱立

もう1つの無責任状態は、トップ同士で発言を共通させていない、トップ乱立=トップ不在パターンである。
その顕著な例が政治家たちである。
筆者の知合いに欧州で活躍している経済記者がいる。
彼いわく、「欧州では、日本の政治家の誰を信用すればいいのか?」というのが最近話題になっているようだ。
それは、経済政策について、小泉首相と、塩川財務大臣と、竹中経済大臣の発言に齟齬があるからだろう。


■リーダーに求められるもの

リーダーに求められるものは何か?
これだけ述べれば十分だろう。
そう、繰り返しとなるが、変革を恐れず、企業や部下を前へ前へ進めさせ、その結果については自らが全責任を負う力量を有することだ。

筆者の好きな言葉に、山本五十六元帥の「やってみせ、言って聞かせ、させてみて、褒めてやらねば人は動かず」というのがある。
「やってみせる」とは、リーダー自らの実践力のことで、部下に前でやってみせることは、それをやれるだけの自信が無くては出来ない。
「言って聞かせて」は、言って聞かせるだけの知見や見識と説得力がなければだめだ。
「させてみる」わけだから、させた部下に失敗が生じても、リーダー自身が責任を取りる責任感と包容力、忍耐力がいる。
そして「褒めてやらねば」とは、例え失敗しても、一生懸命やった部下を褒める、器の大きさが必要ってこと。


■責任を取るとは

シャネルやベネトンなどの広告写真で超有名なイタリアのカメラマン、”オリビエロ・トスカーニ”氏の作品には、すばらしいものがあると思う。
彼は、誰よりも早くスタジオに来て、誰よりも早く準備に入り、そしてスタッフを迎える。
そうすることで、現場の全てを把握し、責任ある仕事が出来るからだとのこと。
普通、あれだけ有名なカメラマンであれば、アシスタントが全てを整えて、シャッターを切るだけってのがよくあるが。

自分の職務やビジネスに責任を取るとは、こういうことを言うのだ。
問題が発生するしない如何ではなく、職務にかかわる全ての責任が自分にあると考えること。
そして、責任を果たすための行動が伴うことだ。


■名ばかりのリーダーたちへ

世の中には、名ばかりのリーダーが多くいる。
今まではそれで給料もとれただろうし、まわりも寛容であった。
でも、もうそんな時代は終わったよ、無責任リーダーさん!

そして、我々一般ビジネスピープルにもリーダーシップ能力が求められている。
それは、各人が、それぞれの部署、それぞれの業務でイニシアティブの先頭に立つことが、非常に重要な時代だからだ。

凡庸(ぼんよう)な時代には凡庸なリーダーしか現れない。
もし、貴方や貴方の上司にリーダーシップ能力が欠如しているようなら、それは貴方や貴方の周りの空気が凡庸だからだろう。


■最後に

こう考えると、リーダーって大変な仕事ですよね。
でも、大変さの裏側には、仕事への充実感ってのがあります。
今日は剛速球のピッチャーだから三振でいいやって臨むのでは、野球やってても面白くないでしょう。
三振したら、「こんちきしょう」って思い、三振した自分をもっともっと向上させ、次にトライする、これの方がその時々は苦しくても、結局は楽しいですよね。
ビジネスも同じ、そうおんなじです。

では、また次回



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「女性の活用」  2002年7月18日  vol.31
■女性のビジネス

「羽ばたく女性企業家」
「女性の力を企画・開発に」
「マーケティングに女性を活用」

このような言葉を目にして、皆さんは何を頭に浮かべるだろうか?
筆者は、「なんでわざわざ ”女性” という言葉を今更、加えるのか」と思ってしまう。
女性という冠がトピックになるほど、まだまだ多くの企業では、「女性を活用」しきれていないっていう証拠だ。
もし活用しきれていたら、わざわざ女性というだけでは記事にすら取り上げられないからね。

■女性の活用が再ブームに

新聞記事で”女性”というキーワードに注目して欲しい。
毎日、数え切れないほどの記事がどっかに記載されているはずだ。
そう、女性の活用がブームだ。

もともと、1986年の男女雇用均等法の実施が契機となり、90年代には多くの企業で女性チームが誕生した。
「女性活用の第一次ブーム」である。
但し、この頃は、女性の感性という曖昧なものに頼ったことが要因で、期待した成果は一握りしかなかった。

そして、「第二次ブーム」である最近の女性活用は、企業内での女性のポジションや、女性の意識が変わったことにより、第一次のものとは大幅に、質も結果も向上している。

■なぜ女性なのか?

ではビジネスへの女性の活用が、第二次ブームを迎えているのは何故だろうか?
まず言えることは、情報収集に貪欲で、生活から娯楽、経済まで幅広い知識を持っているのは、どちらかと言うと一般サラリーマンよりもアクティブな女性である。
そしてそれを、新しいマーケターとして市場が求めているのだ。
「ドマーニ」、「ラヴィドゥトランタン」など働く女性をターゲットにした雑誌では、金融から時事、自動車に至るまでの情報が必須である。
また、「サライ」、「ダンチュウ」、「日経OFF」などは、その購読者の半数が女性らしい。

■女性の労働への姿勢

そもそも、女性の方がよく働く傾向があるということは、少なくとも全否定出来ないだろう。
筆者は、東南アジアでの勤務時に、そのことを何度も目にしてきた。
東南アジアは、温暖であり、極端に言えば働かなくても、食べ物には不自由せず、屋根が無くても寝ることが出来る。
そうなると、どうしても、ボーとグウタラに時を過ごしてしまう男性が多発するのである。
一方、どんな国でも、女性の多くは勤勉に働いていた。例え、横で旦那が寝転がっていても。
そう、働かなくてもいいという状況に置かれると、ホントに働かなくなるのは男性に多く見られる現象だ。

今の日本が東南アジア化しているとは言わないが、「ある程度収入や地位を確保」した男性の一部には、どうもその傾向が日本にも出てきている。

■女性の感性

下記で取り上げる21lady.comという女性ベンチャー社長の発言を引用する。
「女性の感性の方が鋭い場合が多い。特に飲食や物販などリテールに関しては」そして、感性の鋭い女性がOKを出した店、認めた店舗は、少なくとも男性の目をクリアしていることになるとのこと。

よって、先端的企業では、低いバーである男性の目ではなく、高いバーである女性の目に照準を合わせることに心がけ、その為に女性社員を多く活用している。

■女性の欲

男性には、多種多様な「欲」がビジネスに絡んで派生する。
接待で銀座のクラブに行くのも、女に関するカネ問題が発生するのも、あるいはワイロなんかがその悪例だ。

一方、女性にはその傾向は少ない。
欲が絡むと、どうしてもビジネスの本質から脱線したり、本質を見逃したりしてしまう。
それは、購買担当者であたり、商品開発者であったり。

もちろん、全ての男性に当てはまるわけではないし、全ての女性がクリーンとも言えないが、少なくともその傾向はある。
よって、よりよいビジネスの成果を得るためにも、女性の活用が増えている。

■将来を見据えて

ビジネスは、今日明日の利益だけを追い求めればいいのではない。未来を見据える必要がある。
それは、ゴーイング・コンサーンと言われることだけが理由ではない。
今日明日の利益を求めた商品・製品には、どこか胡散臭いものが内在する。
短期的視野に立ったサービスは、その寿命も短い。
一方、未来を見据えた商品を作り上げるには、どこか人間としての高次元の欲を満たすことが求められ、それは女性の方が長けているとも言える。
後述するエコ・ファンドなどは、その典型的な事例だろうし、それを日本に導入したのは女性である。

■経営者の皆さんへ

女性社員の多くが、今よりも高いレベルの仕事に付きたいというアンケート結果が、某家電メーカーから出された。
家庭と仕事の悩みを幹部自らが聞くような体制にした某金融機関では、ここ3年間の利益はウナギのぼりだそうだ。

経営者や一般ビジネスマンは、今まで述べてきたことを、十分に理解してもらいたい。
もし、「既に女性を積極的に活用している」だとしても、それは競争優位を走っている先端企業では、至極当然の戦略であることを頭に入れてくべきだ。
もし、「我が社では、女性の企画チームがある」ということを自慢しているようじゃ、既に貴社やそのビジネスは古いと思うべきだろう。
もし、「貴社では、まだ女性の活用をあまり導入していない」ようでは、5年後の貴社はこの世から消えているかもしれない。

そして、それはビジネス・ピープル個人個人にも当てはまる。

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上記解説の一助となる女性活用の事例を、以下に幾つかあげてみたので、参考にして欲しい。

■三菱自動車の例

三菱自動車に経営陣として乗り込んできたクライスラー社は、「なぜ女性をもっと活用しないのか」と、現経営陣に激を飛ばした。
そして、新車の企画開発に、女性だけのチームが誕生した。

自動車のような技術がモノを言う商品は、どうしても男性に頼っていた。
また、高額商品ゆえに男性が購入決定権を握っているとも見られていた。
ところが、実際に購入する際、妻や娘の発言は高まっているだろう。
また、自分の車を購入する女性も増えている。
そして、単に女性の顧客に訴える以上の効果を、同社は得たとの感触があるそうだ。

■東芝の例

着せ替え感覚のデジタルカメラ”ソラT10”が好調な東芝。
当初、女性を消費者のターゲットにするために、女性社員に開発を協力させた。
そして出来上がったものは、意外な結果を生んだのである。
通常のデジカメよりは、女性の購買者が増えたものの、予想以上に40代男性の購買が多かったらしい。
中年層にはデジカメ初心者が多い中、女性向けに操作性を簡単にしたことが、40代男性に受けたらしい。

■エステー化学の例

殺虫剤や芳香剤などで有名なエステー化学では、女性だけの「素人集団」を発足させた。
同社の製品の購入者は、ほとんどが主婦である。
にも拘わらず、従来は男性中心の商品開発、マーケティングであったそうだ。
「ユーザー発想が出来ていない」という社長の反省により発足させたこの集団、そのメンバーは皆、社員であるのと同時に、一消費者でもある。

■投資ファンド(投資信託)の例

エコ・ファンドというのが一昨年くらいからブームになっている。
いわゆる、環境に優しい企業の株式を投資対象とする、株式投信である。
このエコ・ファンドの日本における草分けが、個人の女性である。
彼女は、企業の収益力だけでなく、人種差別をしていないか、環境を汚染していないか等に着目したSRI(社会的責任投資)を、日本で立ち上げようとしていた。
ところが、多くの金融機関は「それは美しい考え方だが、理想的すぎるね」と、冷たい反応。

しかし、女性は子供の将来を思い、若者は自分の将来を思って、環境問題を捉えたエコ・ファンドは、日本にも導入されるはずだ、という信念を崩さず、今の地位を確立したのである。
ちなみに、冷たくあしらった金融機関、その多くは中年の男性だったらしい。

■その他の大手企業

タニタ社は、女性チームが開発した女性用の体重・体脂肪計を発売。「ダイエットおすすめ日」を表示するなど、女性ニーズに応える機能が多く盛り込まれている。

コンビニのミニストップ社は、女性好みの商品開発の拠点として、武蔵野女子大構内に店舗を開き、女子大生に店長を経験させる制度を始めた。

白鹿で知られる酒造メーカー辰馬本家酒造社は、新リキュールの企画開発から販促までを女性に任せている。

有楽町西武では、商品開発に女性の声を入れるために、独自のサイトをオープンした。

日立では、一人暮らしの女性向け冷蔵庫「わたしの野菜中心蔵」を、女性チームが開発し、大ヒット商品となっている。

アコムでは、働く女性向けのクレジットカードを、一般公募の女性にて開発した。

穴吹工務店では、室内でガーデニングができるマンションを、女性チームにより誕生させた。

■カフェグローブ・ドット・コム社(ベンチャーの例)

「Domani」、「『FIGARO japon」など、多くの女性誌編集者として、あらゆるテーマを手がけている矢野社長が、「女性のための本当に役に立つメディア」を目指して立ち上げた企業が、カフェグローブ・ドット・コム社(東京都港区)だ。
2001年12月現在、1日18万ページビュー、月間ユニークユーザー18万人の人気サイトに成長を遂げ、日経「ECグランプリ2001」ECマーケティング部門では、部門賞を獲得。若き女性起業家の代表として、各方面から注目を浴びている。
筆者は、仕事柄、何度か同社の矢野社長と面談してきたが、そのビジネスに対する感性は、我々男性には決して存在しないものがある。
その一例として、ネット上で消費者と共同開発した商品を販売する事業を手がけている。
URL
http://www.cafeglobe.com/

■21lady・ドット・コム社(ベンチャーの例)

長年の外食・小売り・サービス業の多店舗展開支援における経験と実績を背景に、独立起業したのが、21lady.com社(東京都千代田区)の広野社長だ。
同社は、タリーズコーヒーを上場にまで導いた実績のある広野社長のノウハウと人脈を活用して、多店舗展開する企業に対し各種支援を行い、新たなライフスタイルを提案している。
また破綻したシュークリーム最大手「洋菓子の ヒロタ社 」を引継ぎ、現在「消費者ニーズにフィットした店作り」を目指し、ヒロタ社を改造中である。
筆者は、同社/広野社長と、幾度もビジネス話をしてきたが、その情熱と仕事への取組み姿勢、及び鋭い感覚には、いつも脱帽していたものだ。
URL
http://www.21lady.com

■エルパ社(ベンチャーの例)

結婚式などへの音楽家の派遣からベビーシッターまで手がけるエルパ社(東京都渋谷区)。
一般的にPartyでの生演奏を頼むと高い料金で驚く人も多いはずだ。
そんな中エルパ社は、「給料よりも演奏する機会が欲しい」という女性が多いことに目を付け、音楽系学校を卒業した人を組織化し、Party会場に派遣している。
URL
http://www.music-elpa.co.jp/

■トレンダーズ社(ベンチャーの例)

同社は、20〜34歳女性、いわゆる購買決定権を握る層の中でも、口コミの元となるトレンドリーダーを「トレンダーズメンバー」と名づけて組織化。
そして、彼女たちのアイデアや意見を企業の商品開発や新規事業立案に活用するマーケティングサービスを展開している。
URL
http://www.trenders.co.jp/

■オリエンタル社(ベンチャーの例)

「会社を起こしたい、人々に認められたい」との思いから独立を決意した尾崎社長は、商材探しにタイ、インド、パキスタン、エジプトなど数十カ国を周る。 
「短期間に収益を上げるビジネスは何か?」「地域No1になれるビジネスはなにか?」 熟考した結果、「炭火焼肉レストラン」を選択。内装なども外注しないで、1から自分の手で新横浜に1号店を作る。大好評、大繁盛のスタートのさなか、多店舗展開戦略、多事業展開で短期間のうちに年商数億円企業 オリエンタル社に育て上げた。"無"から創造することの喜び、パワー、誇りを追及しながら、2003年の株式公開を目指して、現在も多店舗を、さらに新事業をと展開中。
URL
http://www.oriental-japan.co.jp/







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